最近の東ティモール

MDGs Goal8は、「世界のみんなで助け合おう!」です。現在、私が生活している東ティモール民主共和国は、ティモール版のMDGsを見てみると、世界最貧国の一つだと書かれています。そのために、多くの国からの支援が求められる、と。
「世界のみんなで助け合おう」。この言葉は私にとって、とっても難しい言葉です。果たして生まれて来た国も、育ってきた環境も全然違う人々が同じ目標に向かって一つになることが可能なのか...?その思いも踏まえた上で、今回はAFMET(東ティモール医療友の会)が県保健局と共同で行っているSISCaプログラムについてお話します。
 東ティモールにおけるMillennium Development Goals (MDGs)の目標6。それは、マラリア、結核、HIV/AIDSに立ち向かい、減少させていくこと。今、東ティモールはちょうど雨季。マラリアの季節。ということで、今回は、AFMET(東ティモール医療友の会)のプログラムの中から、マラリア減少の為の活動を紹介したいと思います。

東ティモール・AFMET-東ティモール医療友の会

横浜教区大和教会 渡邉怜子

 ちょっとマラリアから話題がそれますが、最近東ティモールの国営放送では毎日のようにデング熱への注意を呼び掛けています。
kubasa
首都ディリにある国立病院のデング熱による入院患者は200名を超え、病院の許容範囲を優に超えてしまい、今までに10名が亡くなったと伝えられています。AFMETのお手伝いさん、ロザさんの娘さんは今年からディリの学校に通い始めましたが、出血性デング熱で入院、治ったら肺炎になり今も治療中です。ディリに住む日本人の友人達もデング熱にかかったという人が私の知っている限りで7人。蚊が媒介する病気の恐ろしさをあらためて実感しています。マラリアも、蚊が媒介する病気の一つ。私自身も罹患経験があります。激しい頭痛と高熱にうなされ、抗マラリア薬を飲んだ後はしばらく副作用にも悩まされます。日本ではマラリア患者を扱える病院は少なく、入院対象となる恐ろしいイメージのこの病気ですが、ティモールでは単なる風邪同然の扱いです。薬を手に入れるのも簡単。でも、発見が遅れて亡くなる人や、薬の飲み方を誤り耐性が出来、慢性化している人もいます。風邪のような病気ですが、正しい知識が無ければ死んでしまう恐ろしい病気でもあるのです。しかし...実はそんな恐ろしいマラリアは、小さな生活環境の改善で簡単に予防することができるのです。
 

東ティモールからの手紙 -143

2010年12月に東ティモールに派遣された深堀夢衣さんからのレポートです。活動開始後、初めての一人での活動を体験し、いろいろな学びがあったようです。

横浜教区由比が浜教会 深堀夢衣

*一人ロスパロス*
今月は、日本のメディアが東ティモールに取材に来ており、その通訳のため、JLMM派遣者の渡邉怜子さんはロスパロスにいませんでした。さらに、現地代表であるジュベンシオさんは、リキサという県でプロジェクトを行っており(私が住んでいるのはラウテン県ロスパロス郡)、彼はプロジェクトコーディネーターなので、ジュベンシオさんもロスパロスにはいませんでした。そうとなれば、もうロスパロスは私がしきらねばなりません。一人で、自分より10歳以上年齢の違う人々をビシバシと......できれば良かったのかなぁ...。
 AFMETには、日本人スタッフ2名 (怜子さんと私) と、現地スタッフ9名 (現地代表1名、現地代表補佐役1名、フィールドオフィサー3名、薬剤師1名、PHC(保健ボランティア)オーガナイザー1名、ドライバー1名、お手伝いさん1名) がいます。もちろん、私より年齢の若い人はおらず、年齢は近くても10歳は違います。今は、CG(コーポラティブグループ:FINI)という石鹸を作るグループの支援もしていますが、組織の中の会計という役職を担い、毎月の給料計算をして、おAFMET金を渡すのも私の仕事です。組織の中で、私は人を雇う方の立場です。ですが、やはり、年下で、しかも女の言うことを聞くというのは、ティモール人男性にとってとても抵抗があるようです。でも、この7ヵ月間ティモールの文化を見てきて、自分でもそりゃそうだよなぁと思います。
 さて、そんなこんなで怜子さんもジュベンシオさんも不在なので、自分の判断でスタッフの人たちに働いてもらわなければなりませんでした。怜子さんとジュベンシオさんの二人がいないとわかった途端、スタッフさんたちの仕事っぷりはがくんと落ち込みます。なめられてるな...と自分でも感じましたが、どうすればいいのかわかりませんでした。パソコンを開いてゲームをしている人(しかも最後にはどうやって消すのかわからないからと私にたずねてきました)、薬剤室で寝ている人、みんな仕事の終わる時間の20分前には車に乗り込む始末。働くってこんな簡単なものじゃなかったはずなのに。

東ティモールからの手紙 -142

東ティモールに派遣中の渡邉怜子さんからのレポートです。
2年間かかわり続けた人との別れの中で「支援のあり方」について考え、多くの気付きをもらったようです。

横浜教区大和教会 渡邉怜子

オリビオさん
 AFMETの近くに、オリビオさんは住んでいます。
 約2年前、彼はココナツの木から落ちて下半身不随になりました。まだ36歳、尿道に管を通して排尿し、排便の世話を奥さんがしています。体の大きな人で、頑固で口が悪くて、近所の人からは遠ざけられている様子...。子どもは7人、上は18歳から下は1歳半まで。本当ならまだまだ家計にはお父さんが必要。奥さんはココナツオイルを作ったり、キャンドルナッツという木の実を集めて売りに行ったりしてお金を作っています。でもそれだけではなくて、家では子どもの世話、家事、畑、洗濯、そして、旦那の介護。会うたびに、彼女はやつれていきます。
 私たちがなぜ彼とかかわっているかというと、彼の村はAFMETクリニックの担当地域で月に1度の尿道の管(尿道カテーテル)の交換を私たちがすることになっているからです。初めは、継続性を考えてロスパロス国立病院にお願いしようと思いました。でも、私たちも目で見て知っているのです。彼らに車が無いことも、人材が足りないことも。彼らに任せたら、ケアの質は良くないだろうと思い、継続性のことも考えながらかかわっていくことになりました。彼は、マラリアや下痢、かなり深い褥創、そしてなにより、叩きのめされた父として、男としてのプライド、家庭内での役割の喪失、恥ずかしさ...など様々なものと戦いながら生きています。

 私は彼の家に行くたびに、何ができるのか考えていました。ボロボロのこの家を、建て直してあげたい、車いすに移りやすいように高さの低いベッドを作ってあげたい、月に1度、米と野菜を届けてあげたい、褥創予防のためにやわらかいベッドマットをあげたい...。どれも、日本人の私にとっては大金を必要としない援助です。明日にでも始められます。でも、それではダメなんです。外国人が簡単に金銭面での援助をすることの影響は、計り知れないものがあるからです。例えば私がこれらを実践する。そうすると、近所の住民はもう彼を助けなくなるでしょう。「あぁ、外国人が助けてるから自分たちはなんにもすることないや~。」と。そして、わたしが、AFMETが、いつか居なくなったら彼はどうなるのでしょうか?近所からも放置されることになります。それに彼にはもう一つ弱点が。それは、元気だったころとても悪い人だったということ。人の家畜を盗んだり、すぐに暴力振るったり。こんな状態になったいまでも、彼を知る人は口をそろえて彼は悪い人だというのです。外国人で村の内情を知らない私が簡単に援助などできる状況ではないのです。
 でも、彼を放っておくわけにはいきません。外国人としては一歩引いてみる。でも、人として、やはり放っておくことはできません。じゃあ、どうしたらいいのか?

 考え続けながら日々は過ぎて行きました。ある日、大雨の日。カテーテルの調子が悪いと、彼に呼ばれました。車で彼の家に行くのは大変です。ずごい泥で、四輪駆動でもズルズル滑るほどの悪路なのです。家に着いてカテーテルの交換、それから何か必要な薬は?...久々に彼が起き上った姿をみて、私はびっくりしてしまいました。土気色の顔、ガリガリに痩せてしまっていました。私は、緊急性を感じました。私がグタグタ悩んでいる間に彼は死んでもおかしくない。今は継続性ではなく、死なないために何かが必要な時かも...。でも、その影響のことも後々着いて回るし...どうしよう?

東ティモール便り

<PSFワークショップ&コミュニティーリーダー達のミーティング!>
 3月3・4日、PSFワークショップがAFMET(東ティモール医療友の会)にて開催されました。PSFとは、SISCa(国の地域保健システム)プログラムの中で活躍するボランティアさんです。35名に招待状を出し、2日とも28名が参加し思った以上に良い出席率を得ることが出来ました。1年間SISCaで頑張ってきたPSFさん達。彼らが今必要としていることはどんなことなのか、AFMETはどうやって彼らをサポートしていったらいいのか。政府とどんな風に協力していくことができるのか。また、栄養や環境衛生に関する知識と技術面へのリフレッシュトレーニングなど、色んな要素を詰め込んだ2日間でした。
 このプログラムはAFMETだけではなく、県保健局との連携の上で行いました。私たちNGOだけが独走するプログラムはもう時代遅れ。何をするにも必ず、県保健局と一緒に。NGOの役割は彼らのサポートだからです。NGOが先頭を切って走っていては、いつまでたってもNGO頼りから抜けることができません。
 今私たちが直面している問題は、国側に予算が下りにくいこと。お金はあるけど使いこなせない。使うシステムが整っていない、ということです。先日政府主催のワークショップに出た時も、各地域から集まった公務員たちは口々に「計画は沢山あるけどお金が無いんだよ!」と言っていました。本来、国にしっかり予算を下していく、消化していくシステムがなければいけない。でも、この国はまだまだシステム化されていないのです。私としては、今進んでいかなきゃいけないことがあるなら、NGOがお金をサポートするのもありだと思っています。
 でも良くないのは「NGOが出してくれるからいいや」となってしまうこと。それだけは、私たちも気をつけていなければいけないことだと思います。だから必ず協力体制で。
NGOはいつかいなくなる。だから、NGOがいる間に、NGOに金銭的な力がある間に、東ティモール政府はシステム作りを頑張らなくてはいけないのです。
 今回のワークショップのトピックも、AFMET・PHC(プライマリヘルスケア)コーディネーターのアリノさん、県保健局のHP(ヘルスプロモーション)&環境衛生課長アルフレッドさん、栄養課長バージニアさんと一緒に考えました。「リフレッシュトレーニングはどんな内容にしたい?AFMETの去年のモニタリング結果では問題はこんなことやあんなこと・・・。」「私もモニタリングしてきたけど、問題はここにもあるわ。栄養課としては、ここに重点を当ててトレーニングをしようと思う。」「環境衛生は?」「家庭訪問、環境チェック活動がまだ実行されていないところが多いから、そのことを説明するよ。SISCaの中でも啓蒙活動があまり出来ていないからね。」「AFMETは彼らに自分たちの問題分析をやってもらおうと思っているんだけど。誰かに頼んだり、誰かのせいにするだけではなく、自分達でもなにか出来ることを探してもらいたいし、困った時に誰に相談したらいいのか、問題別に知っておいてもらいたいし。」「SISCaのスコアも使って彼らのモチベーションをあげていこう。
一番スコアの良かったPSF達にちょっとした景品をあげたら他のモチベーションアップにもなるかもしれないよ。」
 今あるお金をどんなふうに使ったら一番効果的か。人々のメンタリティを熟知している彼らと相談することで、私たちには浮かばないアイディアも出てきます。こういう意見を聞いていると、やっぱり協力は欠かせないと肌で感じます。
 「じゃ、当日よろしく!」

東ティモールからの手紙

< ありがとう>真剣な表情で講習を受けるスタッフ
 スタッフによく言われます。「ありがとう」って言いすぎだと。
ちょっとしたことでも「ありがとう」。それって日本人の常識。
 でもスタッフ曰く、「ありがとう」っていちいち言われるとうるさいらしい。確かに、タバコを人からもらったり、ライターを貸してもらったりしても皆お礼を言いません。それから、何か頼んでしてもらっても、やっぱり「ありがとう」はあまり聞きません。
 「ありがとうっていちいち言わなくても分かるからいいじゃん。
もしタバコを人からもらってありがとうって言ったら、もうそれ以上もらわないってことなんだよ。」なるほど。ある意味「以心伝心」?言わなくても分かるから言う必要がない。それにしても、お礼を言ったらそれ以上は頼まないという意味だというのは初耳。
 ちなみにこんな話も。
 「人が何かくれたり、してくれたりするのは、その人がしたいからしてるのであって、別に頼んだわけじゃない。だからありがとうは言わなくていいんだよ。」
 これはどうかと思いますが。

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